ByeBye Summer Angel


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夏休み最後の日。
日が暮れるまで海を見ていようと思った。
喧騒の去った穏やかな砂浜。
誰もいないだろうと思って来てみると
浜辺には先客がいた。
自分と同じか少し歳下の女の子。

「ママが来るまで遊んでくれる?」
僕の姿を見つけてそんなことを言う。

「うん。いいよ。何して遊ぶ?」
不思議なほど自然にそう答えていた。

「わーい。んとね、えとね・・・」
そのニッコリ笑顔と仕種に魅かれるまま
彼女との遊びに夢中になった。
海を見ることなんて、とうに忘れていた。

「つかまえたぁ!」
最後にオニゴッコをして、僕が彼女をつかまえると

「じゃあ、これあげるね」
といって、きれいな貝殻をくれた。
この浜辺では見たことのないものだった。

「ありがとう」
そう言うと彼女はまた、とびっきりの笑顔で応じた。
そしてふいに

「あ、ママがきた!!」
そう言って指さした先には、海が広がっていた。

「わたし、まだ見習いだから、ママと一緒じゃないと帰れないんだ」
言いながら、照れたように笑う。

「今日は楽しかったね。また来年会いたいな」

「うん。来年もまた来るよ。でもきっとわたしの姿は見えないと思うよ」

「え?」

「だって
、こうやって遊べるのは見習いのうちだけだもん」
そう言った彼女のからだがふわりと宙に浮く

「じゃあね。貝殻、大事にしてね」

中空で手を振った後、女の子は消えてしまった。

消えていく彼女の背中に、
透きとおる翼を見たような気がした。

制作環境
PC9821 Xa12
RAM 128MB
WACOM TABLET UD-0608-R (ArePadUpro)

使用ツール
PAINTER 5.0J

色解像度
1677万色

サイズ
365×500

制作年月日
1998.08.12


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